バイオ炭がCO2減に効果 農業分野でJ-クレジット初認証
日本農業新聞【2022年7月1日掲載】
企業や企業や団体が削減した温室効果ガスの量を国が認証するJ-クレジット制度を巡り、大学教授らでつくる団体が30日、空気中の二酸化炭素(CO2)を炭に閉じ込めて農地にまく「バイオ炭」の取り組みで認証を受けた。全国11の生産者・団体の取り組み実績(炭186トン施用)で247トンのCO2削減効果が認められた。農業分野の取り組みの認証は初めて。
認証を受けたのは、農業現場でバイオ炭の普及に取り組む日本クルベジ協会。同協会は今後、温室効果ガスを排出する企業などに対し、削減実績を販売する「排出量取引」に乗り出す。売り上げは、取り組み農家に還元する。
同協会は全国11の生産者・団体の取り組み実績をまとめ、今年1月に申請。これらの農家は2020年6月から昨年12月にかけ、野菜や果樹、米の圃場(ほじょう)に炭を施用していた。
バイオ炭は、木や竹、もみ殻といったバイオマス(生物由来資源)で作る炭。植物を分解されにくい炭に加工して植物が吸収したCO2を炭に閉じ込め、空気中から半永久的に取り除くと同時に、副産物として生じる炭を土壌改良材として活用する。
同制度では、バイオ炭施用の他、家畜排せつ物の管理の見直しや豚・ ブロイラーの飼料の改善など、農業分野の認証対象が計4種類ある。ただ、これまで認証実績はなかった。
同協会によると、農地に施用する炭の価格は1キロ100~250円という。同協会は「排出量取引で得た利益で炭の購入費を賄えて、採算の取れる取り組みモデルを構築したい」としている。